今回は「地域おこし協力隊になってみてどうだったか」について書きます。

今までは、業務に関係ない人にも見て欲しいという考えがあり、
「地域おこし協力隊」を前面に打ち出した発信は、敢えて積極的にしてきませんでした。
任期終了間際の今、「地域おこし協力隊」について、率直な感想をお伝えします。

地域おこし協力隊を地方移住の手段や、業務のひとつとして興味がある人に見てもらえたらと思います。





はじめに

地域おこし協力隊の働き方は、採用自治体によって様々。

大きくは、下の2種類に分かれます。
・地域課題の解決 →「ミッション型」
・地域の為になるならなんでもOK →「フリーミッション型」

細かく言えば、起業前提で「自分の起業のために時間を使って」という自治体、
地域産業(第1次産業や伝統工芸など)の継承者になる前提で採用する自治体、
などなど、働き方は人や地域によります。
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私たちは、ミッション型。
①観光 ②移住 ③産業の活性 ④施設運営(こえのくら)の4つのテーマが与えられました。

※1人に対して与えられるテーマ数としては、かなり多め。
これは、大石田町は協力隊を採用するのが初めてだったため、手探りでスタートする部分が多かったからです。
良い悪いは別として、1人1テーマをじっくり取組ませる自治体もあります。


こえのくら KOENOKURA

この中でも、他市町と大きく違うのは「施設運営に関われた=拠点を持てた」ことです。
そのため、この記事は、拠点があったからこその話がいくつか出てきますので、予めご理解ください。





協力隊になって良かったこと

一移住者としてではなく、協力隊として住んだからこそ良かったと思うことは大きく4つです。


①たくさんの人に出会える

「人脈を作るのは自分次第」
何をするにもそこは前提ですが、協力隊という立場だからこその利点がありました。

協力隊として着任してすぐ、担当職員さんが様々な場所へ顔つなぎをしてくれました。
これは、本っ当にありがたかったです(涙)

「普段からよく知っている顔(職員さん)」からの紹介だから、信用がありました。
スムーズに地域に入り混むことができ、自然に多くの人と知り合うことができました。

さらに私たちの場合、施設運営を通じたたくさんの知り合いができました。
これは、「大石田町」という地域を問わない出会いです。
 
大石田町の場合、地域外に積極的に足を運ぶことも許可していただいていました。
業務や自活のために必要であれば「地域を問わず」に活動できました。
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この「地域を問わず」というのが私たちにはけっこう重要でした。
活動の幅やその後の仕事の選択肢の広がりにつながったと思っています。

市町村所属の立場だからこそ、「業務は地域内のみ」もしくは「地域外に出るときは、申請が必要」という自治体も多いようです。

「他の地域にも大石田町を伝えたい」
「他の地域を見た上で、大石田町のことを考えたい」

という、着任当初の考えを理解してもらえたのは、意味のあることだったと感じています。



②協力隊の仲間は、地方で面白いことをしようとしている人が多い

これも出会いの1つですが、他地域の協力隊とのつながりができました。
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地方の資源や環境を活かし、面白い取組みをしている人の集合です。
これまでのキャリアや得意分野が異なるからこそ、公私問わず刺激をくれました。
 
更に、任意終了後、「面白い取組み」を仕事化している人も多数。
任期が終わった人とも、良い関係でお付き合いしています。 

「人生を妥協する」とかではなく、給与や待遇以外に働き方や生き方について、
様々な考えを持っている人が集まっている気がします。


③チャレンジしやすい

生活や活動について、様々なバックアップをいただいていました。
それは、「チャレンジしやすい」環境を与えくれているということ。
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「今まで経験したことがない」「町として前例がない」
そんなことも、「やってみよう」の精神でチャレンジさせてもらうことができ、自分の経験のストックにすることができました。


④人前に出る機会を多くもらえる

県全体で移住推進に取組んでいるため、実際の「移住者」に対する関心の高さを感じます。

どんな経緯で山形県に移住したのか?
移住した印象は?
ギャップを感じた点は?

など、様々な会で講演の機会をいただきました。
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これを良かった点と感じるかどうかは人によって違うと思いますが、私たちにとっては、自分の活動を整理する機会になることと、人と知り合うきっかけになるという2つの点で良かったと感じています。





協力隊になって大変だったこと

反対に地域おこし協力隊になって大変だったことは、3つです。


①仕事は自分で作る(当たり前のことですが…)

役場から業務テーマが与えられても、方法やプロセス・効果測定は隊員自身で考える場合がほとんど。

これを「自由な働き方」と捉える隊員もいれば、「丸投げされた…」と捉える隊員もいます。
※「丸投げ」の市町村が全くないわけではありません。
 所属地域の選択は念入りにしましょう。



どちらにしても「指示待ち」の姿勢だと、やっていくのは難しいのが協力隊です。
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私たちは、着任後すぐに活動に対するコンセプトシートを作りました。
任期中に目指すこと、行動指針を役場に提出しました。

コンセプトシートを作るのは、役場との認識を揃え、やるべきことが明確になるので、オススメです!
年度末、結果を振り返りながら、中身を見直しました。


②行政ルールが独特

独特なのか単に慣れの問題なのか、けっこう戸惑う局面も多かったです。
市町村によるのかな?

具体的には、話を進めるステップの取り方、経費の使い方など。
「進歩」ではなく、「維持」を求められる場合もあり、ジレンマに感じることもありました。

その「維持」という指示、本当に守れますか?
 「進歩」や「衰退」以上に、難易度が高いものが「維持」だと思います。

③転職時のイメージ

最近、転職活動をする中で、まだまだ世間一般に「地域おこし協力隊」の存在が浸透していないんだなと感じることが多かったです。

単純に「イメージが湧かない」という反応の方もいれば、「中途半端な仕事をしてきたんじゃないか」と偏った見方をされることも。
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もちろん、話をするときちんと評価をしてくださる会社さんもありましたが、一般企業のキャリアと同等に扱われるまで至ってないのかなというのが率直な感触でした。

ここについては、正直すごく歯がゆく感じました。
そもそも協力隊になる多くは、元々一般企業や個人事業出身者。

1年契約最大3年の契約が終われば、基本的には他の仕事を作るかするかです。
だからこそ、「利益を求めなくていい」の考えはなく、
地域や個人的な「今後の利益」をどう想像できるか。
目先として人に言える「効果」は大事にしてきました。



結果として

私たちは、移住にあたって地域おこし協力隊制度を活用したことは「良かった!」と思います。

記事中の「良かったこと」でも挙げましたが、3年間で人とのつながりが濃く作れたのは、協力隊制度を活用したからだと思います。

移住を希望したときに、一番ネックになったのが仕事を見つけることでした。
私の場合、地域おこし協力隊は、「地域課題に最前線で向き合えること」「前例のないことを作ることを求められること」が、地方で働く上で一番面白そうに映った点です。

これから地方移住を検討している人に、少しでも「こんな働き方もあるよ」という参考になれば嬉しく思います。